SMART:小企業後押しの思考法

PDCAに取り組む、小企業、個人事業、あるいは、個人の方が、PDCAは長続きしないと考える大きな理由を大きく二つに分けて考えることができます。

理由その1

SMARTでない

理由その2

ビジョンがない、失われる

ここでは、理由その1のSMARTについて記します。理由その2、ビジョンについては、こちらのページをご参照下さい。

ムリムダムラを意識させるSMART

SMARTは以下の言葉の頭文字語です。

計画という道筋を考えたり、それに沿って活動する際、これらSMARTの意識を持つことは、ムリムダムラを減らすことと同じ効果が期待されます。極端な例ですが、「売上を上げる!」という目的を上げたとして、SMARTに当てはめて考えてみます。

具体性:Specific

「売上を上げる!」という言葉には、何の売上を上げるのか表現されていません。また、何でもいいからともかく売上を上げる、という意味であるにしても、何をしたら良いのかが分からないため、手あたり次第に目先のことに取り掛かることになり、ムダが少なくないことが端から予想されます。

抽象的な表現を、より具体的に、商品(サービス)、エリア、販売先、販売媒体などで絞り込み、宣伝・集客方法、反応・結果の蓄積、改善方法考案、試行と発想することが、行動を、より分かりやすく、かかりやすくするきっかけとなります。

定量計測:Measurable

「売上を上げる!」という目的なので、売上額を増やすということは分かります。売上金額とは何か?を考えることが、思考を深める手がかりです。

売上額 = 商品単価 X 販売数

と捉えれば、「売上を上げる!」とは、商品単価か販売数を増やすこと、または、その両方を増やすことと考えられます。

売上額 = 商品単価 X 販売数 X 回転率

というように分解すると、商品単価、販売数の他、回転率を上げることも「売上を上げる!」要素になることが分かります。

商品単価は円単位、販売数は個単位、回転率はパーセント、いずれも定量計測できるので、記録、参照する値として利用できるようになります。

広告回数、来店客数なども定量計測可能な値として考えられますし、ウェブの世界では、トラフィック、コンバージョンなどの値を定量計測することが、ウェブマーケティングPDCAの基礎となります。

達成可能:Attainable

Aを「agreed upon(納得できる)」と捉える方が多いかもしれません。「売上を上げる!」という言葉には、いくら上げるのかの具体的目標数値がありませんが、関わる人が、「努力すれば何とか達成できる!」と考えられる目標である必要があります。

では、「努力すれば何とか達成できる!」と考えられる、感じられるとは、どういうことでしょうか?いろいろと考えさせられる言葉です。

  • 単価アップ(納入数アップ)交渉に説得力のある資料(道具)を用意する
  • 顧客交渉回数を増やすため、社内業務を軽減、効率化する
  • トラフィック数を増やすために、サイトを改善、宣伝を増やす
  • 新規商品を追加展開する
  • 新規エリア(見込み客)での集客数を増やす

など、参画する人が、達成できるに違いないと思える、バックアップ、道具、機会などを準備、用意することが考えられますし、それらの利用で実績を増やした実例などを紹介したり、日常的に訓練を積み重ねることで、技能を向上させ、評価することで自信を付けることなども参考となります。

現実的:Realistic

「達成可能:Attainable」かどうかを納得し、信じるという精神的なものに対し、目標、行動が現実的なものかどうかを点検する必要があります。毎日2回ずつ顧客訪問しようすることや、、記事に無関心な人からでもトラフィック数だけを増やすことなどは、現実に意味のあることなのかを吟味する必要があります。

行動そのものは実現できるものであっても、その結果が、現実的、もともとの目的にそぐうものであるのかを観る視点が必要です。

タイミング・期限:Timely

今の社会の重要な指標のひとつ、時間というものをものさしとして利用しなければなりません。自分や自社にとって、働きかける相手にとって、提案や行いがタイミングに合ったものとなるか、期待される期限は決まっているのか、そして、途中点検、再検討の時期を定期的に行うのかなど、時間軸での観察、評価が必要とされます。

以上、SMARTを個別分解して確認し、各論OK総論NGとならないように、そもそもの、PDCAの目的、ビジョンと照らし合わせ、全ては望む姿を目指すために必要な手段になることを省みることになります。